談話室

ISO9001認証辞退

ISO9001認証辞退

3.11の東北大震災で甚大な被害を受けた被災地の皆様には慰めの言葉もありませんが、どうか希望を失わずに前を向いて進んでいくことを祈念いたします。

1995年の阪神淡路大震災では、当社も神戸市中央区京町に事務所を構えていたビルが倒壊する被害を受けました。1964年の事務所創立から蓄積してきた設計図書や資料を全て失ってしまい、呆然とする事態に陥ってしまいました。しかし、緊急を要する被災者用の仮設住宅建設のための建設地調査と住戸計画を他の何よりも優先させたことで、先行きの不安な気持ち紛らわすことができました。今ではその時の作業を誇りに思うとともに、ありがたく感謝する気持ちです。
震災から3年以上経ち、仮事務所から再建された新ビルに戻ることができたのが1998年5月でした。当社が設計させていただいた新しいビルはスペースもゆったり取ることができ、快適な環境で仕事に取り組むことができるようになりました。そして「新しい酒は新しい皮袋に」の言葉があるように、新しい酒を造る手段としてISO9001 の取得に取り組み始め、認証取得したのが1999年11月でした。これは日本の設計事務所では最初期の認証取得だと自負しておりました。
ISO9001を取得してから10年ほど経過をした時点で気がついたことがありした。設計監理業務は決められたルーチンワークをこなす仕事では無いことを当然としているにも関わらず、ISOに縛られ不自由な動きになってしまっていたことです。ISOがあるがために設計監理業務に集中すべき力を殺ぐ例が見られるようになってきました。本末転倒してしまったのです。
ISO9001 認証辞退を決めるに当っては所内で反対意見もありました。しかし、所員一同が力を合わせて顧客に喜ばれる良い仕事をすることで、ISO9001 認証辞退のハンディを乗り越える決意をしました。

(2011年12月27日作成)

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